No.5 簡単な咬合調整法は?
おはようございます。
デンタルコーチ・コンサルタントの友松です。
最近、若い先生から多く聞かれること…
「咬合調整のポイントを教えて下さい!」
皆さん以外と自信を持って行っていなかったりするんですね。
そもそも、相当ヒマな歯科医院でない限り、
「できればセットには時間をあまりかけたくない。」
「しかし正確に行いたい。」
と言うのが本音でしょう。
それでは咬合調整のポイントを押さえましょうか。
ここでも重要なことはゴールを知っていることです。
どこまで調整をすれば、
学術的に問題なく、
また、患者さんに快適に使ってもらえるか?
これがゴールになります。
ここではクラウンブッリジの調整の基本として、
中心咬合時のディスクルージョン(臼歯離開咬合)での
クラウンの臼歯部の単冠を例に上げてお話しします。
先ず、押さえるべきことは2点。
1. 高さは適正か?
2. 咬合干渉はないか?
簡単に言うと、先ず、高さを調整してから、
次に偏心運動時を調和させましょう! と言うことです。
当然ですが、
クラウンの適合が不良なことにより、高径が上がったり、
顎関節に過度な緩みが生じていたり、
重度の歯周病のケースは除いて話して行きます。
1. 高さは適正か?
人間の厚みに対する感知能力は1~30ミクロン程度まで諸説あります。
もちろん、理論的にはセット物の高さは±0が理想ですが、
咬合接触があり、また高すぎない範囲に調整します。
歯根膜の緩衝範囲内にすることも考えて
実際の咬合調整として0~+20ミクロン程度となります。
2. 咬合干渉はないか?
高さの次に見なくては行けないのは偏心運動時の干渉ですね。
ディスクルージョンの場合にはこの干渉は全て取り除いて行きます。
<基本的な術式>
下顎第1大臼歯を例にして
簡単な術式を示しておきます。
1. 口腔内に試適し、コンタクトの調整をします。(なるべく左右均等に)
2. クラウンの内面を調整し、適合を確認しておきます。
3. 試適時に高いことを確認します。
(咬合調整量の目安:前歯部での離開量を確認し、その約半分がクラウンの調整量)
4. 赤の咬合紙(厚さ20μ位が望ましい)をコツコツとタッピングさせ、
咬合面の形態が崩れないように調整をして行きます。
5. 高さの調整が0~+20μとなったら、
その時点で咬合紙で印記されている点が必要な咬合接触点になります。
(この咬合接触点はBコンタクトを含み最低3点以上確保することが望ましい。)
7. 次に、赤の咬合紙を咬ませながら偏心運動(ここでは限界運動)を行います。
8. その後、青の咬合紙で再度タッピングを行わせ、咬合接触点を印記させます。
9. この時に赤と青が重なっているところが残すべき咬合接触点で、
赤のみの印記部分が干渉部分ですので、
この赤のみの部分を取って行きます。
10. 5~9を繰り返し行い、赤と青の咬合紙の印記が一致するまで行います。
慣れてくると、速く、正確になってきます。
調整時間は通常3分、最大5分を目標にするといいでしょう。
どうでしょうか?
簡単、効果的な咬合調整は理解できましたか?
明日の臨床に役立ってもらえれば幸いです。