私が歯科医を辞めた理由」

    〜最終章〜

 

 

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今日は

 

「3. 医療のシステムに関する問題」

 

医療の現状についてお話しします。

 

 

 

今までに、保険制度、教育制度の問題点をお話ししましたが、
では、医療の現状はどうでしょう?

 

 

日本の医療ではその大半が健康保険で行われています。

その報酬や方法などは厚生労働相の諮問機関であるところの
中央社会保険医療協議会で決められます。

 

 

そして、
残念なことですが、それはお役所仕事。

これに関しては実際の現場の声はなかなか反映されません。

つまり、金額、治療内容など、ほぼすべてを国が決めている。

そのシステム、運営は、ほぼすべてが国の主導、決定によります。

 

 

三権分立ではなく、
警察と裁判所が一緒になった状態に近い、
自由経済の日本においても、制度としては社会主義的な考え方です。

 

 

この健康保険の本来の発想である相互扶助は良いと思いますが、
実際のシステムが社会主義的な色合いが強いですから、
やはりひずみが生じ易い。

この影響が若い先生たちにはダイレクトに跳ね返ってきます。

なぜなら、最も立場が弱いからです。

 

 

この健康保険に関して詳しくは専門家にお譲りするとして、
ここでは現実的な問題点を取り上げてみたいと思います。

(一部、以前お話しした部分と重なりるところがあります。)

 

 

①構造上の問題

・述べたように政府主導でありますから、当然、現場の声が上がり難い。

・医師会、歯科医師会などの団体も改善に頑張っている面もありますが、
 効果的とは言い難い。

・あまり効果的とは言えない治療方法、妥当とは言えない報酬額が決まっても、
 実際行う医師側からの意見が認められ難い。

 

 

②診療報酬の金額、支払い方法は適切か?

・支払われる医療費が極めて低い(海外との格差が大きく、先進諸外国に比べ、1/3〜1/10の金額)

・より高度な治療を望めば、保険適応外となり健康保険は支払われません。

 つまり、国の決めたやり方で満足できない人は自腹でやって下さい!
 それについては、国はサポートしません…ということです。

 

 

③評価の面

・経験、技量、予後、専門性が評価されない。

 

 すなわち…

 ・  経験ゼロの医師でも、経験豊富な医師でも評価は同じ
 ・  技術的に高くても低くても、その道のエキスパートでも評価は同じ
 ・  治療が上手く行っても、行かなくても評価は同じ
 ・  その治療の専門医でも、専門外でも評価は同じ

 

 つまりは、

 内容ではなく、
 決められた治療を行ったかどうか?

 

これだけが唯一の評価基準となります。

 

 

 医療を受けるあなたにとって…
 これは問題だと思いませんか?

 

 

④人材育成の面

・教育方針が実践的ではない。

・現実の大学教育と臨床のスタートとの間にギャップが存在し、
 それを埋めるトレーニングの場、効果的な方法が少ない。

・優秀な人材でも困っている若い先生が多い。

・人材が育ち難い。

 

 

⑤その他

・大学の学費、トレーニングのための研修費、開業費用などの投資に対して、
 リターンである収入のバランスが崩れてます。

 自らしなくて良い苦労を買って出る人はいませんから、
 優秀な人材が集まらない!
 その結果、医療レベルの低下がもたらされることになります。

 

 

つまりは、


保険制度と実際の医療現場の状況、治療方法とのバランス、
また、報酬の評価方法と現状とのバランスが保たれてないこと。

教育制度で達成させる技術レベルと
実際の医療現場で必要とされる技術レベルとのギャップが大きいこと。

 

これらが、問題の本質です。

 

 

 

そして、

最後に、そのツケを負うのは誰か…?

 

 

それは、
歯科医、医療界でもありますが、

残念ながら、
その医療を受ける国民です。

 

 

医療を受ける1人として、

あなたはこの問題を放置しておいて良いのでしょうか?

 

 

もちろん、
日本の医療制度を変えることは簡単ではありません。

 

 

しかし、あなたを初め、

一人一人が意識を持つことから変革は始まります。

一人一人が行うことから少しずつ変わって行きます。

 

 

 

私の場合は…

 

 

この件に関して、
私は、患者さんの治療を通して考えてみました。

 

このまま、毎日、同じ歯科臨床を続けていても
私は毎月出逢う患者さん400人くらいの幸せにしか貢献できません。

 


しかし、

現在、困っている若い先生たちの教育に携わり、

10人成長させることができれば、結果的に毎月、4,000人の幸せに貢献できる。

100人成長させることができれば、毎月、40,000人に貢献できる…

 

 

こう考えて見ると、

私の人生、そして、使命が違って見えてきました。

 

 

幸い私は、
大学、大学病院、関連病院、検診センター、開業医、海外での大学と大学病院など、
通常の医師、歯科医師では経験できない実務経験があります。

 

 

この豊富な経験を活かして、今後の若手の先生の教育にあたれば、
彼らの成長は加速される…

 

 

そこで若い先生たちに

最小の時間、費用、労力で自信を持って臨床に望めるようにサポートができれば、

優秀な人材を育成する事ができます。

 

 

その結果、

今後の医療界に一石を投じることにもつながるのではと思っています。

 

 

また、

良い人材、より良い医師を育成し、医療水準を向上することにより
国民の健康レベルを上げること、国民の幸せに貢献できたら、
医療人としてその使命を全うできたと言えます。

 

 

このため、

私ができる第1歩として、

後輩の育成に尽力することを自分の使命と決め、臨床を中断することにしました。

 

 

具体的には個別のトレーニング、コンサルなどを行っていますが、

「最小の時間、費用、労力で自信を持って臨床に望めるように育成する」ために、

現在は臨床を具体的に検討、習得できる実践勉強会を構築しています。

 

 

「さあ、これから健康を通して日本を元気にして行こう!」

 

 

これが現在の私の思いです。

 

 

あなたに賛同して戴けたら幸いです。

 

 

 

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