「私の歯科医までの生い立ち」

〜 医局員、大学院編  その1〜

 

 

ともあれ、何とか大学を卒業しました。

 

 

卒業時、私は臨床のエキスパートと共に
科学的な見識を持つ研究者にも憧れていたので
大学院を希望していました。

 

 

私が希望した大学の医局は当然、父と同じ補綴学教室。

しかし、そこは人気も高く、厳しいことで有名でした。

 

 

当時の主任教授は「日大にその人あり」と全国に知られた高名な方で、
臨床技術がスーパーな上に学生時代の成績も抜群。
入学から卒業まで特待生、常に1番の経歴の持ち主。

 

 

そして大学院生の選考基準は学力的な成績で決めるとの意向があり、
私には低くないハードルでした。

 

 

そして、主任教授に入局と大学院の希望を打診すると人は皆、
聞かれます。

 

『あなた、シングル?』

 

 

 

つまりは、「成績は一桁、10番以内だよね。」
と言う意味です。

 

私もそれを知っていましたので、
最終学年である6年生の時は結構、頑張りましたが、
残念ながらシングルにはなれませんでした。

 

 

また、大学院の定員は1名、
ライバルの1人は学年2〜3番のトップの1人。

 

 

 こりゃまた分が悪い!

 

 

努力、根性、気合いとアピールで何とか乗り切ろうと試みましたが、
結果は全く戦いにはならず私は落選しました。

 

 

著名な臨床家への伝も有りましたので、
大学に残るのを辞めて外に出て一気に修練を積むか、
一年待って大学院の再選考を待つかとても考えました。

 

 

決め手になったのは父とお世話になっている先輩のアドヴァイスでした。

 

 

 「エキスパートから学べる環境で少なくても5年以上はトレーニングが必要。」

 「我流に10年やっても、仕事に慣れるだけで、真の成長は望めない!」

 

 

2人が全く同じことを言ったんですね。

それも尊敬している2人ともが…

 

やはりこれにはインパクトが有りました。

 

 

今なら分りますが、

 

 『何を学ぶか?』 よりも

 『誰から学ぶか?』

 

 

実はこちらの方がはるかに重要です。

 

 

例えば、小中学生の時に好きな先生や教え方の上手な先生の教科が好きになったり、
成績が上がったりするのと同じ現象です。

 

 

そんなこんなで当時、最高の環境であった補綴学教室の大学院進学を決意し、
一年後に入学しました。

 

 

 

さて、現実の医局員の生活ですが、
仕事は実際の治療の他に、


朝のお茶汲みから、学生の講義&実習の用意、手伝い、
医局の雑用、研修、カンファレンス、ミーティング、
それに患者さんへの製作物を作る技工操作も加わります。

 

ハッキリ言って、楽ではありません。

あまりに忙しくて、図書館や病院外へ逃避する者さえいました。

 

 

また、在籍して、言われたことをやっているだけでは進歩は限られていますので、
自身のための勉強時間、トレーニング時間も取らなくてはなりません。

 

 

そんなこんなで私は勤務時間が通常7時〜23時半、平均労働時間15、6時間です。

家に帰ったらひたすら寝るだけでした。

 

 

いやぁ〜、今から思えばよく働いたと思いますが、
地道に言われた事をただただ実行するだけでした。

出来が良い分けでも、要領が良いわけでもなく、
その頃も相変わらずの「のろま」でした。

 

 

でも、『私も必ずエキスパートになる!』との志だけは高く、負けず嫌い。

努力だけは人一倍しましたが、相変わらずの出来でした。

 

 

本当につらい日々が続き、何度、挫折しそうになったことか…

数えればきりがありません!

 

 

 『お前、本当ににダメだな〜』

 『本当に使えない!』

 

 

こんなダメだしを先輩医局員からは日に何度も食らい、
寝不足と過労で心が折れそうになり図書館に逃避したことも
実は何度かあります。

 

 

 『とにかく忙しい、時間がない。』

 『自分の時間、インプットの時間が取れない』

 

 

焦りは募るばかりです。

 

 

 あなたにもありませんか?

 

 

新人の時に何をやっても上手く行かず、
ダメだしの嵐。

 

 

成長したいのに、
何をやって良いのか分からず、
将来に不安を感じ、空回りする毎日…

 

 

でも、私にはこれしか無く、やるしか無い。
とにかく前向きに、学ぶ気持ちで毎日をこなしました。



そして、私はとても負けず嫌いだったので、
とにかく出来ることをコツコツやり続けました。

 

 

でも準備をしているとチャンスはあるもんですね。

それも突然やって来ました。

 

 

その詳細は…

 

医局員、大学院編 ② に続く…)